副題:断ち切る言刃と繕う言葉
言葉は事物を断ち切る性質をもつ。
言葉が溢れるほど器は傷ついてゆく。
人の傷痕を指して醜いと侮り嗤う者がいるだろう。過ちと非難する者もいるだろう。言葉は言葉の疵痕となり癒える傷痕へ重なってゆく。最近の世相はとかく審美的だ。幾何学的数学的な完全さを求めるのだ。それは内なるもののみならず、他人の生き方やパーソナリティにも向けられる。
汚いもの醜いものを目に映したくない。そういった好ましくないものを容易くすげ替えリセットしてしまう。
人はそもそも不完全じゃろ
不完全が色の濃淡を生み陰影と景色をつくり人生に起承転結を与える。それがドラマとなるから人間を味わえる。
過ちのない傷跡のない完全な人間が一人でも存在するのか。
割れても壊れても、それを不可避と繕い繋ぎ人は生きているのだ。
漆黒を走る傷痕は醜いかな。まるで人生の大河のように、天駆ける雄壮な龍のように、闇を照らす強き稲妻のように、美しくないかな。
傷跡とは、人生の道そのものだ
金継ぎ
原ヶ谷戸, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
不完全を美しいと愛でる感性。そういった先人達の美意識を、忘れずに受け継いでゆきたい。
形而上者謂之道 形而下者謂之器
形より上なる者 これを道と謂う
形より下なる者 これを器と謂う
易経 繋辞上伝
形より上なる者 これを道と謂う
形より下なる者 これを器と謂う
易経 繋辞上伝
※この記事は特定の時事を念頭に書いたものではありません。