副題:左派は事実(客観)より解釈(主観)を重視する
過去記事「社会保険料の会社負担は嘘?保険料の支払いがなければ貴方が貰えるはずのお金?」とほぼ同じ内容なのだが、この類の解釈、もはや通説並にまかり通ってるのかと目を疑うツイッタ投稿をみてしまって。社会保険料の会社負担分という概念を未だに多くの人が理解していないことに驚くよね。
例えば、額面40万円の給料の人には、会社は人件費として46万円払ってるんだよ。そこから、社会保険料の会社負担分6万円と個人負担分6万円を差し引いた34万円を従業員に振り込むんだね。なのに、日本のルール上、給与明細には、給与40万円、手取り34万円って記載されるから、無知な日本人は、会社負担分の6万円についてピンハネされていることにすら気付かない訳なんだよ。
額面の40万円の人は、実は46万円分の労働価値を提供していて、会社はそれに対して46万円の対価を支払っているんだけど、そこから実は12万円もの大金をピンハネされているって事実を、しっかり認識するべきなんだよ。
https://x.com/partyhike/status/1864862862197559474 より引用
https://archive.is/8JEAK
制度の仕組みを根本から無視した手前勝手な解釈です。そも会社負担分は概念じゃないだろw
https://x.com/terrakei07/status/1867914130046460124 より引用
明らか事実を解釈した迷論
事実よりも自分の解釈優先
(私達はこう解釈します‥)
労使折半は全額負担と同じ!!
事実と論理の機序
事実はこうだ。厚生年金を例にすると、保険料徴収の根拠は81条1項、保険料額の算定根拠は81条3項である。
1.政府等は、厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む。)に充てるため、保険料を徴収する。
3.保険料額は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額とする。
会社が本人に代わって納付事務を履行する根拠は82条2項、そして保険料額の半分を負担せざるを得ない理由が82条1項縛りである。
1.被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。
2.事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。
基準はあくまで報酬月額
仮にあなたの給与が20万で、これへ厚生年金法81条3項が適用されると(多分18.3%)なので36600円の支払い義務を負うが実際の支払い額は18300円で済んでいる。なぜか。厚生年金法82条1項が適用されるからだ。仮に(中小零細視点)会社負担はキツいということで82条1項が削除されたら、または次のように改正されたら?「被保険者は、保険料の全額を負担する。」
2項はこうだ。「事業主は、その使用する被保険者の負担する保険料を納付する義務を負う。」
こうなると、論理的必然的に労働者が全額負担することになりませんか。
なぜなら会社側の負担義務(負担の根拠、理由)が消滅し、事業主は縛りから解放されるからだ。
経費と対償性の有無
では厚生年金制度自体が廃止されたら?上述したように、社会保険料の会社負担(の根拠)は労働対価じゃないんで給与額の20万が残るだけでは??会社負担分を従業員の給与に加算してやらねばならぬ義務なんてないのだが。たとえば人件費の勘定科目中、労働者へ直接支給される給与内給料は労働時間対価だが扶養手当は(任意の)福利厚生費(法定外福利費)であって労働の直接対価ではない。
なので【扶養する家族(根拠)】がなくなったら【扶養手当(効果)】もなくなるでしょ。
給与内訳の扶養手当から基本給にスライドしないのはおかしい!!と謎の怒りを爆発させる人います?
投稿主はネット言説にありがちな「保険料の支払いがなければ従業員が貰えるはずのお金」とは言ってないけどピンハネと認識してるのでより酷い。事業主負担のお金を従業員の権利視点で観念するのはまずい。
まあ、こうした我田引水の手前勝手理論も暖簾に腕押しすればナッジ作用を生む可能性はある。社会保険制度が消滅すれば(会社負担義務が消滅すれば)今まで負担してた分を基本給に上乗せ、賃上げしてあげられるのに‥そう考える経営者はいるかもしれん。
でもそれは経営判断であって、労働者の権利としてクレメンスしたら滑稽でしょ。あの手の迷論を宣うクレクレ左翼を見てそうするインセンティブを経営サイドが認めるとはとても。
社会保険制度が消滅すれば(会社負担義務が消滅すれば)今まで負担してた分が経営資源に還元され一息つけるのに‥そう考える経営者だっているでしょう。
🧑🔧{社長、それは貴方のポケットマネーじゃありません。保険料の支払いがなければ従業員が貰えるはずのお金ですよ!}‥こんな図々しいこと言う従業員いたら嫌だろw
重い社会保険料は賃上げを阻むファクタに作用する‥程度の分析ならわかるんだけど、その反実仮想に【社会保険料負担がなかったならば従業員が貰えるはず】を対置させる彼らの視点はどこからくるんだww
あまつさえ労使折半は全額負担と同じだのピンハネだのもう無茶苦茶だろwww
民事の争点足りうるか?
労使折半は全額負担と同じ。社会保険料負担がなかったならば従業員が貰えるはず。社長のポケットマネーじゃない。等々‥この手の無茶な言説を信じる左派はさ、じゃあ、実際にそうなった場合に給与へ上乗せされてなかったら、民事裁判でも起こすのか。そのとき請求原因事実をどう示すの?請求権の根拠足りうる権利関係はなに??
副題回収
左派の特徴は、解釈の力によって現実の権利関係の存否を無視して一方的に他者へ権利設定する、できると思ってるとこ。これは社会保険料の労使折半の話のみならず、ほうぼうで散見する現象だ。
2024/12/12/031434投稿