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【戦艦発言批判】言葉の正しさは誰が決める?JSF寄稿記事から浮かび上がる語法と頻度と通用性の混線

副題∶ヴィトの言語ゲーム
(軍事クラスタ vs 一般聴衆)

軍事ライターJSF氏の寄稿記事を読んでのけぞった。高市総理の言語感覚はどうでもよい。揚げ足を取りたい人は勝手におやりなさい。私が吃驚したのは軍事ライターJSF氏の考える「間違い」と断じた根拠である。

問題の記事はこれ。

記事タイトル
高市首相の「戦艦」発言が間違っている理由、戦艦を戦闘艦全般の意味で使わなくなって100年以上が経過

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f7dca8d418654bd113b88ffb4e7fadda9244c2fc

引用元∶Y!ニュース
12/4(木) 7:19

JSF氏は記事本文で以下の引用およびワシントン海軍軍縮条約を根拠に「間違い」となった理由を説明している。順に見てみよう。

引用①

「戦艦」の意味は、例えば、広辞苑(第七版)によれば、「①戦争に用いる船。軍艦。戦闘艦。②軍艦の一種。最も卓越した攻撃力と防御力とを有する大型艦で、第二次大戦までは水上兵力の中心。」とされており、文脈によってその意味するところが異なり得るため、「言い間違い」との御指摘は当たらない。

出典:『高市内閣総理大臣の「台湾有事」答弁における「戦艦」の意義等に関する質問主意書』から、総理大臣側の答弁書(令和7年12月2日)を参照

引用②

語釈は、歴史的に古い意味から書く方式と、現代使われている意味を先に書く方式がある。前者は、日本国語大辞典や広辞苑、多くの辞書は後者だ。例えば「優しい」。広辞苑は「身も痩せるように感じる。恥ずかしい」から、三省堂国語辞典は「(相手に対して)思いやりがあるようすだ」から書き起こしている。

出典:読売新聞 2022/7/5(火)

JSF氏は高市総理の答弁内容(引用①)について、広辞苑に記載されている事実を認めつつも、記載事実を根拠に答弁内容を正当化するのは困難であろうと述べる。

同記事の中からJSF氏の言葉を拾う。

JSF∶例えば航空母艦(空母)を指してこれは戦艦だと説明したら、怪訝な目で見られてしまうでしょう。

更にJSF氏は読売新聞記事(引用②)を引用し、辞書から意味を拾う場合の注意点として語義のブランチ先後に注目し、高市総理が着目したブランチは古い用法であり、今はもう使われていない用法だろうと述べる。

同記事の中からJSF氏の言葉を拾う。

JSF∶辞書に書かれてあるから間違いではないというのであれば、「優しい」は「身も痩せるように感じる。恥ずかしい」でも間違いではなくなりますが、しかしそれはもう誰も使っていない用法になります。

‥だから何だと言うのか。

一般論として言うと、辞書に載っているブランチは社会的通用性が存続している語義と評価でき、辞書とはそれら意味の集合(慣用的・歴史的語義の変遷アーカイブ)だろう。

「私は使ってる人を見たことがない」という使用頻度に関する経験事実をベースに、だから「その語義選択は誤りである」「使うべきでない」などの規範命題を含意させ、他者のワーディング否定する人いたら、それこそ怪訝な目を向けられそう。

言語の通用性を支える基盤

通用性を支える基盤を階層化する。

【戦艦】で考えると‥

①文法的・形態論的正しさ
→現代専門用語としては誤りと評価され得る。
(レジスター適合性)
a戦艦は専門語としては不正確。
b一般語としては意味復元可能。

②辞書記載
→記載あり。

③実際の使用頻度
→各人の経験依存

④話者共同体内の共通理解度
→文脈次第で通用し得る

⑤語用論的復元性(意味の復元)
→高市答弁により復元

最後にJSF氏は、戦艦が「戦闘艦全般」を指す語から「特定艦種」を指す専門用語に確定した時期を1922年のワシントン海軍軍縮条約に求めたうえで、次のように断じる。

JSF∶つまり戦艦を戦闘艦全般の意味で使う用法は正式に間違いとなったのです。

‥なるほどそうなのでしょう。
(はじめて知りました)でもね。

仮に国際条約上・軍事専門用語上そうだとしても、それが直ちに国内政治の一般向け答弁語法まで規律する根拠になるわけではない。

軍事専門用語としての「戦艦」と、一般国民が理解する自然言語としての「戦艦」は、同一の規範体系に属していない。

専門用語の厳密性と自然言語の復元性はそもそも別物であるところ、両者を無媒介に接続し、「条約以後は正式に誤りである。」と一般語にまで射程を拡張してしまうのはJSF氏による論理の飛躍だろう。同じ言葉でも、学術論文、条約文書、政治答弁、日常会話では、要求される厳密さがまったく違う。

ところで国会は誰のもので答弁は誰のためにあるのでしょうか。

答弁は専門家共同体や軍事クラスタの中での誤解や混乱コストを下げるために存在するわけじゃないですよね。そして国会は、すべて国民のためにあるんですよね。

高市総理は質問者を通してその背後にいる数多の一般聴衆と、わかり易く平易な言葉で語らってるのでしょう。私には【戦艦】の意味するところが伝わりましたよ。

JSFさん、「優しい」を「身も痩せるように感じる。恥ずかしい」と古語で使っても、間違いじゃないですよ。

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Original: karsai-nei-tsang.hatenablog.com | Author: [マBOY] | First published: 2025-12-04 | ID: pcm-puls

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