※記事中における労働権の定義
労働権{:=}労働者の諸権利(実定法)および実定根拠となる抽象的背後理念
吉村大阪府知事、大阪府内の介護/保育/障害児者施設職員へギフト券を支給するのかしら。施策の効果はともあれ(また私自身、施策の効果に興味はないが)こうした施策に付く歪んだ批評については関心の的だ。
自分で給与の低い介護の仕事を選んだのだから、ギフトは渡すべきではない。
https://news.yahoo.co.jp/profile/news/comments/7c82af13-984d-4a18-a2a9-bbf3c1281651
このヤフコメ民、労働環境改善を訴える労働者に対する行政対応(ギフト券支給)について「(そう)すべきでない。」と一蹴している。理由は典型的な自己責任論。
結論自体は問題ないよ。
奇妙なのは理由である。
自己責任論を採用すると、労働三権が機能しなくなるからだ。これ(経営者層のコメントなら理解できなくもないが)ヤフコメ民が労働者層なら天に唾を吐くようなもの。
労働三権やその背後根拠である憲法二十八条は特定職種を排除している‥という趣旨なのか?(無論、自衛隊や警察など例外はある。)それとも労働権それ自体を不当な権利として観念しているのか?
前者の立場なら単なる職業奴視だし
後者の立場なら単なる労働者軽視だ
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
また憲法を読むと次の一文がある。
賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
にもかかわらず、介護/保育/障害児者施設職員は国や自治体から参政権的請願や社会権の制限を受けるのか?被差別職扱い?
たとえば介護は公務員でないものの、報酬は公定価格の統制下であり業務内容も(加算要件により統制されるため)国のガイドラインに準拠せざるを得ない。そうすると、労働三権の向かい先、つまり訴え先が実質国や地方自治体に向くのは極めて順当だろう。

⚫介護労働者視点なら‥
事業者に言っても意味ない
→国や自治体に改善を要求
⚫介護事業者視点なら‥
国と交渉しないと意味ない
→国や自治体に改善を要求
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ちなみに労基法は労働者全体の利益にかかる福祉だが、賃金関連でいえば、2023年の労基法改正(厚労省pdf∶2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金が引き上げられます)も納得いかないのかな?
春闘とかも納得いかないのかな?
やはり特定職種につき不満かな?
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ところで私は「経営者層のコメントなら理解できなくもない」とはじめに書いた。
これ誤解のないよう一応付言すると、ここで言う「理解」とは、あくまで事業コストを抑えたい、という経営上の動機の話であって、正当化まではしてないからね。
労働三法(労働基準法、労働組合法等)を守れない経営者やそうした経営者が采配する事業は有害だから即潰れてほしいんだ、私は。
ルール遵守はゲームに参加する前提条件なので。その上で(労働権を不当な権利と見なすのなら)労働法の改廃を目指せばいいんだよ。過保護への批判も一つの立場なので思想実現のため闘えばいいじゃないですか。ただ、経営者層にせよ労働者層にせよ、他者の正当な権利行使を不当視するのは違うよな。
(で、ヤフコメ民コメントに戻ると‥)
職業選択時の条件を、その後の改善要求可否の根拠にするのは論理の飛躍である。労働条件の改善を求める権利は職業選択の事実とは無関係に保障されているのだから。
そしてそれを承知のうえで事業を起こし労働者を募ってるのだから。
労働三法なんて知りませんでした!又は知ってるけど守れん!という経営者いたら、そいつが無能なんですよ。知ってるけど守らん!という経営者なら反社です。
だって労基法なんかは違えたら犯罪になる条規ありますよね。特別法犯。犯罪上等の経営者は反社扱いされても仕方ないでしょ。
とはいえ介護労働者の賃金を全産業平均に引き上げるのは困難だと思います。
まあ私の立場はヤフコメ民系の自己責任論経由でなく介護労働人口と介護保険制度の(治癒不能な)構造的欠陥について考えた結果ですが。
介護労働者が目指すべき理想環境は介護保険制度を廃止して介護の価値を市場にジャッジさせること。介護を完全自由競争の下で行うこと。市場が価値判断するならそれは正当な判断だから、自己責任や市場原理を尊ぶ人は支持して欲しいんだが現実は‥
記事タイトル
「介護計画すらあきらめる人が出るかも」厚生労働省の「2割負担対象拡大」案、研究者や利用者が撤回求める
引用元∶東京新聞
2025年12月5日
対価は払いたくねぇ‥
ギフトすら許さねぇ‥
自由競争は認めねぇ‥
保険制度はやめねぇ‥
自己責任とはほど遠いクレクレ仕草だが、こうなると、介護業界は提供するサービスの質を調整するくらいしか社会から押し付けらた理不尽の辻褄を合わせる方法がない。
しかしそれも駄目という。
そのくせ親の面倒は嫌がる。アダムグラントじゃないが、日本は介護労働者を搾取するだけのテイカー社会だよ。いや冗談抜きで人として恥ずかしくないのかお前ら。
追記∶介護コストが上がる理由
第二条(基本的理念)
老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。
老人福祉法第二条の具現に配慮してたら現場コスト(本来利用者が負担すべきコスト)上がるの当たり前ですよ。
これ下掲する関連法とセットになると配慮水準が貴族並みにに跳ね上がりますから、せめて老人福祉法第二条だけでも改正できないものですかね。こんな感じで。
老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として尊重されるとともに、最低限度の生活を保障されるものとする。
それが無理なら老人福祉法第四条3項でもいいから削除してほしい。
第四条(老人福祉増進の責務)
国及び地方公共団体は、老人の福祉を増進する責務を有する。
2.国及び地方公共団体は、老人の福祉に関係のある施策を講ずるに当たつては、その施策を通じて、前二条に規定する基本的理念が具現されるように配慮しなければならない。
3.老人の生活に直接影響を及ぼす事業を営む者は、その事業の運営に当たつては、老人の福祉が増進されるように努めなければならない。
だってこれ、文理上は国及び地方公共団体を二条の適用対象としてますが、直接支援上、実際に「基本的理念が具現されるよう配慮」してるのは介護事業所の職員なので。国及び地方公共団体は直接支援に文字通りの意味でタッチしないんだからさ。
⭐一番穏当な解決策⭐
介護職の賃金を抑えたい
保険料の増額を抑えたい
利用負担増額を抑えたい
加え制度を存続させたい
これらを実現する一番手っ取り早い方法が高齢者の「貴族」扱いを止める、普通の人間として扱うことなんだが、つまり老人福祉法の改正なんだけど、意味不明に聖域化しており誰も公論化できないという。
しかしなぁ‥
いくら差別の総本山として名高い厚生労働省であっても介護職を犠牲にする従来の手法(利用者負担の転換)はおのずと限界がくる。特定の職業を奴視することで成り立つ貴族制度が現行憲法下で安定運用できるわけない。
参考∶認知症高齢者の介護コストを貴族並みに引き上げる法律群
ICD-10:症状性を含む器質性精神障害
ICD-11:精神、行動、又は神経発達の障害
・刑法第39条
心神喪失者の行為は、罰しない。
・民法第713条
精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。
・民法第714条
前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
・民法第714条第2項
監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。
・老人福祉法第2条
老人は、(中略)敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。
・認知症基本法
第三条第一号
全ての認知症の人が、基本的人権を享有する個人として、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができるようにすること。
第三条第三号
認知症の人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるものを除去することにより、全ての認知症の人が、社会の対等な構成員として、地域において安全にかつ安心して自立した日常生活を営むことができるようにするとともに、自己に直接関係する事項に関して意見を表明する機会及び社会のあらゆる分野における活動に参画する機会の確保を通じてその個性と能力を十分に発揮することができるようにすること。
・高齢者虐待防止法第1条
この法律は、(中略)高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。
・介護保険法第1条
この法律は、(中略)これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、(後略)
Original: karsai-nei-tsang.hatenablog.com | Author: [マBOY] | First published: 2025-12-10 | ID: pcm-puls
