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行き場のない雑文

チネイザン商標登録の適否

2018-10-29
追記:日本でのチネイザン出願の成否は登録要件の解釈によると思います。登録要件の考え方は以下が詳しい。

我が国における悪意の商標出願への対応(pdf)

なお、法律用語における『悪意』の意味は、ある事実について知っていることをいう。
※第三者の出願へは、何人も実名又は匿名で意見提出が可能です。


2018-10-27
追記:商標には文字商標と図形商標があり、図形商標として出願登録された商標の中に文字を含む場合、当該文字の専用権・禁止権は第三者へどの程度及ぶのか。

完全同一は論外にしても、類似の範囲、判断はどのようになされるのか…これらは専門家でないとわからない。

わかりやすく解説しているサイトがありますので紹介します。

文字商標と図形商標どちらで商標出願をすればいいの?part①文字商標


2018-10-24
最近驚く情報に接した。

なんでも、ある同業者によって「チネイザン」の名称及び役務の商標登録が出願されているらしい。

特許情報プラットホームで検索してみると、確かに出願されていた。

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当該出願の成否次第で、以後日本国内における「チネイザン」の名称使用及び役務の提供が困難になる。出願人へ使用料を納めるなどすれば別だが。

私もチネイザンにかかわる業界の末席として、営業に制約が生じる事態は好ましくなく、また出願人との争いも望まない。よって私の見解や思いをブログ上に簡潔に表明する事とする。

チネイザンとは

所謂チネイザンは漢字で気内臓療法と書き、源流は古代中国のタオ(神仙術、陰陽道、老荘思想、東洋医学)にまで遡る、タオの仙人が健康法として行っていたと言われる秘術の一つである。

文化大革命などの影響で歴史から消え去ろうとしていたが、しかしこの療法はタイ北部に伝わり、ムイ先生というチネイザン名人の施術法にタイ生まれの中国人謝明徳(マンタック・チア)老師が現代医学を取り入れて再生したのが“現代チネイザン”の始まりと言われている。

※中国には他にも類似療法があり、はっきりとした歴史的事実を特定することはできない。

以後チネイザンは1990年初頭にアメリカで正式に紹介され、タイのタオガーデンを中心に日本を含め世界中に広がる事となる。

商標登録は適当か

このように、チネイザンは他国の歴史や文化遺産としての側面を背景に、創始者が存在し、世界中に弟子達が存在し、また類似技術が混淆し、現在「チネイザン」はオリジナリティと慣用化された名称又役務という両義的ブランドとなっている。またタイ国内においては創始者であるマンタクチア老師とタオガーデンによって商標登録されている。
日本での商標登録によって、出願人に国内におけるこれら権利のすべてが帰属してしまう事態となれば、残念という他ない。

参考資料(商標登録要件)

商標法
第二章 商標登録及び商標登録出願
(商標登録の要件)

第三条 
1自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

二 その商品又は役務について慣用されている商標。

「慣用されている商標」とは、もともとは他人の商品(役務)と区別することができる商標であったものが、同種類の商品又は役務について、同業者間で普通に使用されるようになったため、もはや自己の商品又は役務と他人の商品又は役務とを区別することができなくなった商標のことをいいます。
第四条
1次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの。

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