24-BLOG

雑文集

非日常語彙

この記事を読んでくれた身内から、要は二律背反を指摘してるんだね‥的な反応を頂戴した。 

アンチテーゼ(反定立)という言葉を使ったからだろうか。アンチテーゼと表現した私の意図はともかく二律背反の使いかたに妙な違和感を覚えた。(間違ってないよ)

試しにググると次のような理解で用いる例が多いような。

二律背反
にりつはいはん
互いに対立し矛盾する二つの命題が、同等の権利をもって主張され、相矛盾して両立できないこと。ドイツの哲学者カントが『純粋理性批判』で、この語を用い、人間の認識能力の限界を示したことは広く知られている。二律背反はAntinomie(アンチノミー)の訳語。

〔例〕「父さんは、受験勉強だけでなく本も読めというし、母さんは、本を読む暇があったら勉強しろという。まったく二律背反だね」などと使う。

引用元:イミダス・集英社
スピーチに役立つ四字熟語辞典
https://archive.is/kobM3

カントのantinomieを持ち出すなら二律背反を「相矛盾して両立できないこと。」と字義通り説明してしまうと誤解を生む気が。カントはこの意味で使ってないので。
①テーゼ:私は男である
②アンチ:私は女である

①が偽のとき②は真である
②が偽のとき①は真である
このとき真偽は必ず【P∨¬P(男であるか男でないか、①か②か)】です。両者は(原則)同時に成り立ちません。これ【¬(P∧¬P)】がテーゼとアンチテーゼの関係です。

では次はどうか

①テーゼ:時(空)間に始まりは有る
②アンチ:時(空)間に始まりは無い
①は偽である。なぜなら‥
時(空)間に始点が有るならば、前提(後者)が無限に待ち伏せるから。
例:整数列(1,0,-1,-2...)の無限背進
つまり真は②である。

②は偽である。なぜなら‥
時(空)間に始点が無いならば、今現在( AB )が存在できないから。
つまり真は①である。

‥これだと命題関係【P∨¬P(有るか無いか、①か②か)】がイマイチ判然とせず曖昧ですよね。互いの反定立が無矛盾律【¬(P∧¬P)】を破り【(P∧¬P)】を推論(観念)上に出現させてしまってます。

むしろヘーゲル弁証法が近い。

他方、イミダスはカントを引用し「認識能力の限界」のくだりから「父さん母さんの説教」へ話を繋いで二律背反(相矛盾して両立できないこと※1)の具体例として示してますが、これだとカントの用語法と違いがわからず読み手は混同するんじゃないかな。

※1)相矛盾ってこれ私の言葉じゃないですよ。悪しからず念のため。

「相反する内容を並立(二律)させると論理矛盾(背反)を生み出してしまう。(←前進後退→とか)」これを二律背反という。

文字通り互いに背反する。
字義通り解釈すればそう。

ただ用語の意義はそう単純じゃないので二律背反を日常語彙として説明するならカントは無理に混ぜないほうが賢明だと思うけど。

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