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社会保険料の会社負担は嘘?保険料の支払いがなければ貴方が貰えるはずのお金?

副題:我田引水の実例

最近の出来事なんですが、社会保険料の労使折半を【嘘】と喧伝する珍説を肯定的に流布するイデオローグをSNSで見てしまって。

端的にデマ(※1扇動的な悪宣伝)ですが、なかには橘玲氏の著書から次の見解を引用して自説を根拠づける人も。

あなたが毎月10万円の社会保険料を納めなくてはならないとすると、労使折半の原則に従って、半額の5万円は会社が支払ってくれます。これだけを取り上げて「社員になれば保険料の半分は会社持ちだから得だ」と考える人がいますが、これは大きな勘違いです。会社が支払う5万円は人件費の一部ですから、社会保険料の支払いがなければあなたがもらえるはずのお金だからです(社長がポケットマネーから出してくれるのではありません)。

『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015』(橘玲、幻冬舎、P162)』

何度読み返しても【保険料の支払いがなければ貴方が貰えるはずのお金】理論を読み解けない。人件費にグルーピングされる勘定科目イコール労働対価ではないからだ。

社会保険料(厚生年金)の計算式
【標準報酬月額×厚生年金保険料率÷2】に20万、20%(何れも仮の数字)をあてはめると従業員の差分は18万、【労使折半分÷2】がなければ16万だが社会保険制度が撤廃され双方納付義務から離脱した場合、自己負担分の2万のみならず会社負担分の2万も本来従業員の取り分だから給与は22万が適正値。つまり4万円が当然に給与所得に加算される額ですよと言いたいわけか‥迷論すぎる。

確かに社会保険制度なんてなくなれば会社は当該2万を負担する義務から解放されるわけだ。でも負担分2万の行先が会社の金庫じゃなく何故に従業員のポケット?

文字通り我田引水。


我田引水[我 (ワ) が田に水を引く意]
強引に自分の都合のいいように計らうこと。

引用元:新明解国語辞典
事業主視点だと(労災保険のように性質上やむない負担もあると思うけど、)社会保険料は賃金のような労働対償性がないからを法律効果で折半義務を強制してるだけなのに、法律効果消滅を義務なき支払いからの解放でなく給与への加算を当然視する橘玲的解釈が思った以上に広まっててワロタw
結論❌保険料の支払いがなければ
⇒貴方が貰えるはずのお金

⭕保険料労使折半がなければ
⇒会社が支出するはずのないお金

追記:どんどん脱線してゆく‥

派生として、次のような声まで出る始末。『被雇用者が払う分を企業が半分負担してるという建て付けですが、「ねんきん定期便」にはその半分が払った実績に入っておらず、消えてしまってます。これは従業員の納めた分にカウントされないのか?』などの声だが、されるわけないだろ。

事実として納めてないし、「被雇用者が払う分を企業が半分負担してるという建て付け」という理解がそもそも間違ってる。

たとえば厚生年金法の第八十二条を参照するとこう書いてある。

厚生年金保険法 第八十二条
1.被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。

2.事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。

事業主負担も含め、是が非でも従業員自身で全額納めた事にしたいのだろうが、条文を読む限り、被保険者と当該被保険者を使用する事業主が其々前者のため保険料を負担する、(履行の効果は前者に帰属する)という文章にみえる。

つまり被雇用者が払う分を企業が半分負担してるのじゃなく、企業は企業が払う分を法定福利費として負担してるのである。

ところで、社会保障制度が廃止されることはないにせよ、中小零細は苦しいから一部改正なら起こり得るかもしれない。たとえば82条を下のように改正したとする。

改正八十二条
1.被保険者は、保険料の全額を負担する。
2.事業主は、その使用する被保険者の負担する保険料を納付する義務を負う。

さて、労使折半(会社負担)は嘘。本当は従業員が貰えるお金です。とか嘯いてる人は、従業員のお金なんだから折半しないなら給与に上乗せしろとか騒ぐのかな。

※1.参照:新明解国語辞典
追記:【ネットに浸透する嘘デタラメの猛威】会社負担(労使折半)分の社会保険料は労働対価じゃないだろw


2023/08/26/174706投稿

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