解題:誰の手にも負えない
忠告:若者は介護に行くな
SNSで上の(1)に類する投稿が相次いでます。(1)は価値判断を含まない事実の指摘にすぎず何も間違ってないので批判じゃないんですが、高齢者福祉のコスト増(現役負担増)からか、社会の中の福祉カテゴリをパブリックエネミー然と扱う人々が日増し目につくので引用投稿に付け足すと、指摘の通り上のデータは医療を含みますから福祉視点でブラッシュアップすると内訳は下掲①ですね。
①労働力調査結果
出典:「労働力調査結果」
総務省統計局(2022年度)
また当然に当該数=介護従事者でないから下掲②に着目すると、令和3年度に要介護認定者は688万人に達しており、対して介護職員数は214.9万人(入所系職員は102.6万人で全体の約48%)です。
②介護職員数の推移
出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(介護職員数)「介護保険事業状況報告」(要介護(要支援)認定者数)(2021年度)
③社会福祉施設等調査
⚫施設数⚫常勤換算
出典:「社会福祉施設等調査」厚生労働省(2021年度)
④介護事業所調査
出典:「介護サービス施設・事業所調査」厚生労働省(2022年度)
【補記】
冒頭書いた通り引用投稿への批判じゃないですよ。医療と福祉は人や財を食い過ぎる。この問題意識は概ね正しい。高齢者の老後は大変かもしれないが、現役世代の医療・介護費負担増は若者の未来に深刻な悲劇を生むから価値観闘争は更に激化してゆくと思う。
2025年問題は入口でしかない。平均寿命を考えると女性のほうが老後は厳しいかも。
玉木氏はこう仰ってます。
「本当に現役世代の可処分所得を守ろうと思えば、後期高齢者医療制度への拠出金などは縮小しなければならない。」
https://twitter.com/tamakiyuichiro/status/1702597989452382422より引用
一般職種でも現役世代は大変なのだから、低賃金の代表格たる介護職種はもっと悲惨である。
同じ福祉カテゴリでもジャンル(業種や職種などの形態差)で給与変わるから、それなりの給与を得ている層が確実にある一方、普遍的にイメージされる(所謂)介護職の給与水準で更に社会負担増えるとしたら、若年介護職はいよいよ生活に困窮するから引退して生活保護とったほうがよくないか?
曖昧記憶による概算だが、母子家庭なら生活扶助(母子加算、児童養育加算)、教育扶助、住宅扶助の合計支給は30万超えないか?さらには税金も社会保険料もかからず。介護職でシングルマザーなら生活保護を申請すべし。
遠慮は不要。
下掲データは賃金構造基本統計調査から女性(施設系)介護職員を年齢・経験年別で調べたものです。掲載データは全国平均ですから都道府県別だとこれより下回る地域もあるでしょう。なにより数字は手取り額じゃありません。
または一つ前の記事で紹介したように、介護の価値を認めて貰える国、認めてくれる人にサビ提供先を限定するとか。(OZの介護給は週1382AU$とあります。)
低賃金を解消できないならば、せめて介護職員の(保険料含む)税一切を免除したらどうか。
あと介護福祉職は既存の介護福祉士会とはべつに自分達を政治的に守る職能団体を設立すべきでは。介護福祉士会の目的に介護福祉士の権利擁護が入ってないので。
職能団体ならば先ず会員の権利擁護を基礎に置かんかい!
会員数伸びないの当然だし入会を絶対にすすめない。
日本介護福祉士会の概要介護福祉士会は認定介護福祉士なる民間資格を推してるけれど、これの取得は絶対にやめたほうがよいです。曖昧で抽象的な(いわゆる)介護へ更に内容曖昧な屋上屋を重ねる資格で法的根拠もない。
目的
介護福祉士の職業倫理の向上、介護に関する専門的教育及び研究を通して、その専門性を高め、介護福祉士の資質の向上と介護に関する知識、技術の普及を図り、国民の福祉の増進に寄与すること
引用元:日本介護福祉士会
https://www.jaccw.or.jp
2023.09.21現在
当該資格を介護福祉士の上位資格として宣伝してる介護業界の人をけっこう見るけど、私は資格商法と認識してます。根拠もなく勝手に上位を主張してるだけです。「根拠がある」とは法制度に基づくという意味です。たとえば准看と看護師の関係とか司法書士と認定司法書士の関係とか。士補制度の存在する資格とか。
これを目指すなら看護あるいはケアマネなど内容が厳格に定義された資格取得を目指すべき。ただ、本来ケアマネジメントや要介護認定調査は介護福祉士の基本業務に包摂されるべき仕事。
認定された要介護度(机上ADL)と当該から推定されるADLが実際の現場で乖離したら事故要因になるし大問題だと思うけれど、そりゃ直接介護に従事しない他職種で認定審査委員会が構成されてるのだから齟齬はでる。
介護軽視の介護認定という茶番。
たとえば薬剤師に要介護認定の何がわかるのか、とは思う。
要介護認定に不服のある御家族も少なくないのでは?と推察するけれど、認定調査員の資格要件に挙げられる以下の資格、たとえば(介護職としての)直接介護経験のない薬剤師や栄養士が認定調査するケースもあるわけです。
保健師、助産師
看護師、准看護師、歯科衛生士
栄養士
理学療法士、作業療法士
言語聴覚士、精神保健福祉士
社会福祉士、介護福祉士
視能訓練士、義肢装具士
柔道整復師、あはき師
必要なのは、キャリアアップ体制構築を名分に根拠不明な資格の屋上屋を重ねることじゃなく、介護福祉士それ自体の位置づけを底上げすることでしょう。
職能団体
職能団体(しょくのうだんたい)とは、専門的資格や技術や知識を持つ専門職の従事者らが、自己の専門性の維持・向上、専門職としての待遇や利益を保持・改善したり、専門職同士の親睦や互助を行なったり、専門職の団結による社会的提言や社会貢献、研究などの活動を行うための組織である。利益団体の一種である。ロビー活動も行う。
引用元:ウィキペディア
最終更新:2023年6月23日
保健師助産師看護師法との関係
介護福祉士法第四十八条の二
介護福祉士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず診療の補助として喀痰吸引等を行うことを業とすることができる。
追記:3N資格の末路
記事タイトル
介護福祉士の養成校、入学者が更に減少:新卒者らは10年で半数以下に
引用:介護ニュースJOINT
2023年9月28
介護福祉士養成校の入学者減少、これも当然の帰結だろう。【介護福祉士】資格に存在価値を見い出せる中高生っていますか?
無論のこと0人はないでしょうけれど、介護は看護や医療の下請け的位置づけ。
介護福祉士は准看(県知事免許)以下の扱いを受けます。
ヒエラルキー最下位。
①独占業務【ない】
②ステータス【ない】
③稼げ【ない】
世論を観察すれば「職業に貴賤なし」は綺麗事であり建前にすぎないと理解できる。現実は更に残酷で建前すら無視される。
もうケアマネジメントや相対的医行為の取り込み等、上で述べたような抜本的位置づけ変更が出来ないならば、資格制度自体撤廃したほうがよいと思う。
介護福祉士は介護現場における機能訓練指導の資格対象からも排除された資格。
介護福祉士会も介護福祉士の権利擁護(地位向上)に関心を示さないし、この資格に未来はないですよ。
しかしである。
世の中いろんな人がいる。
是が非でも介護分野で働きたい、そして関連資格を取得したい、そう渇望する中高生が万一存在する可能性を憂慮し忠告する。直ちに介護資格目指すのをやめて看護へ進路変更なさい。
それは保健師助産師看護師法を読めばわかります。
第五条【この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。】このように、「療養上の世話」は看護師の本来業務ですから介護に従事したい場合は当該5条を使うとよい。看護ならば社会から蔑視されることもないし、上で書いた機能訓練指導にも携われる。
准看ならば養成所で2年の課程を修めればよく難易度は高くないですし、あえて介護福祉士養成校を目指すメリットはありません。
日本の資格市場で出品しても「3N資格」に価値はつかないと思うが、こうした実態へ目を向ける事なく上辺の魅力だけアピールしてきたんだもの。介護業界の諸問題、何もかも今更すぎ。
引用記事によれば、「今年度の入学者のうち外国人留学生は1802人。全体に占める割合は29%だった。」とあり、養成校システムの破綻も時間の問題だろう。
記事タイトル訪問介護事業必置資格であるサ責の要件が介護福祉士に限定されるならば事実上ここを介護福祉士の独占業務といいうる領域にできたのですが、学者の反対で潰れるかもしれませんね。このように、介護福祉士は正真正銘の名前だけ資格。いや介護業界自体、制度設計において介護福祉士の声や存在は眼中にない。介護福祉士は全方位(事業者、ケアマネ、医療、看護、利用者、家族、世間、学者、行政、政治家)から軽視される立場。
【介護報酬改定】訪問介護のサ責、介護福祉士限定に反対 今は理想より現実を直視せよ=結城康博
引用元:介護ニュースJOINT
2023年10月10日
実体の伴わぬ言葉のシャワーならかけて貰えるかもですがニュースや現場の実状から窺えるように御世辞なので実体が存在しません。
若者を如何におだてて安く酷使するか。心せよ、介護業界に存在するのはこれ一つだということを。