副題:理念の日かげ
https://archive.is/BiQem
https://archive.is/yaRch
ある車椅子ユーザーが映画館に不満をぶつけていた。
事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
見たい作品がグランシアターに集中するようで、過去3回は【女性スタッフ二人が階段を持ち上げてくれた】のに今回は上映後残念な対応を受けたと(支配人と目される者の言葉が心なかったと)大変嘆いておられる。
たしかに法は民間に対して配慮を義務づけてる。
ただ一般論、ツイッタを利用した告発だと告発者による一方的非難の色彩が濃く(サービス提供者を悪者にするから)広汎な支持へは繋がりにくい気する。
サービス上お客様の意に沿えない場合にかける言葉はセンシティブだから語句選択を誤りゃそりゃ客は怒るし(そう訴えられたら)企業側はお詫びする以外ない。
だがそうした形式上の問題は(実際の言葉の内容が不確かなので)さておき、結局この話は利用客への対応つまり合理的配慮は適切か、その評価に尽きるような。
ちなみにWEBサイト【よくある質問】で車椅子対応について確認すると「お問い合わせください」とお願いしてるんですよね。
じゃあ事前連絡の有無について、一利用客の私的都合と現場OPSの事情どちらを顧慮すべきか。
現場スタッフの発言内容※劇場(上映室)≠映画館
この劇場はご覧の通り段差があって危なくて、お手伝いできるスタッフもそこまで時間があるわけではないので、今後はこの劇場以外で見てもらえるとお互いいい気分でいられると思うのですがいいでしょうか。
大前提、車椅子は力で持ち上げ運搬する作りじゃない。そういう想定で設計されておらず運搬に容易な形状でないから不自然な体勢を余儀なくされ腰壊す。
女性労働基準規則によると18歳以上の女性も30kg以上の重量物を取り扱う業務(断続作業)に就かせてはならないとある。継続作業なら20kgだ。
これらは妊娠中女性または産後女性を保護する規定の準用だが、ここへ腰痛対策の視点をいれると更にこうなる。
基発0618第1号【職場における腰痛予防対策の推進について】によると、取り扱い重量については男性なら体重の概ね40%以下、18歳以上の女性は男性が取り扱うことのできる重量の60%まで。
そもそも車椅子を持ち上げた体勢で行う階段移動は肢位保持が不安定になるから昇降自体が危険作業で身体へかかる重量負担は平地移動と比べ段違い。
もっとも、プロなら一人又は二人介助も不可能じゃないが、プロは持ち上げないし、そもそも安全対策として階段昇降機を用意するのが筋だし、それでも他に手段(や技術)がなくやむを得ず持ち上げ階段移動が必要なら総重量にもよるけど最低四人は欲しい。
ただ階段は狭いので、かえって危険かもしれない。つまりは緊急時などの例外を除き【持ち上げ階段移動】自体が無理してやる必要のない介助方法!
なお、既出の基発0618第1号【職場における腰痛予防対策の推進について】に照らし合わせても、持ち上げ昇降は『不自然な姿勢』を余儀なくされる作業といえそうです。そしてこう書かれてます。
※車椅子の階段昇降をざっくり把握したいかたのために有益なコラムと動画を紹介します。なお動画の介護職は二名持ち上げ階段昇降を実践されてますが、二番目の動画は只の力技で腰壊すやつです。試したい人は自己責任でどうぞ。可能か可能でないかの単純争点なら可能に決まってます。
https://archive.is/CS4TI
介護タクシーコラム【介護タクシーで知っておきたい介助のはなし〈階段介助編〉】
思うに、ああしたクレームをカジュアルに支持する人達が一定出現する背景は、社会広範に浸透する「介護は誰でもできる簡単作業」という認識にあるんだろう。
できて当然でしょ?
‥みたいな。
介護技術を過小評価しすぎ。
でも素人が移動支援して事故ったら、素人が何やってんだ、と掌返しで(業務中という点加味して)責め立てるんだよな。
★これ高齢者の場合だと、僅か10cmの車輪落地↓でも圧迫骨折おきかねません。
介護施設や障害者福祉施設で車椅子持ち上げて階段移動する職員みたことないでしょ。それで事故ったら裁判ざたじゃないですか。病院でもそんな危険行為してる看護師みたことないでしょ。
できるか否かじゃなく、危険予測可能な介助動作を徹底して遠ざけるのがプロです。
あくまで障害者介護一般論ですけど、ガイドヘルパーの全身性障害者移動支援は法定研修受けた上で業務就いてます。互いに危険だからです。全身性でなければ簡単という話でもなく、上で紹介した介護タクシードライバーも介護職員初任者研修を受けてるはずです。
雑感:本当の弱い立場とは
移動支援を専門に扱うプロであったり介護介助を主たる業務として扱うヘルパーに対するクレームなら叱咤激励と捉えるのもあり。けれど、素人が扱う作業として考えると車椅子の階段運搬は合理的配慮の範疇を超える気するので、(被害感情を覚える御本人はともかく)法律があるとはいえ配慮つまり無償援助の枠内で汗かく人達をもう少し穏当に論評することできないのかツイッタ民‥
車椅子から座席への移乗一つとっても介助対象者の身体状況(診断、症状等)で適切な動作は変わる。
でもシアター従業員はなんら教育訓練を受けておらず見様見真似、手探りで手伝ったわけでしょう。福祉の現場はそこの重要性をわかってるから一定の訓練を積んだ上で医療と連携して援助計画立てるんですよね。
シアター従業員はそうした背景ないわけで、本当こわかったと思うよ。
今回の件も一番弱い立場ってシアターの【女性】スタッフです。
処分されてなきゃいいけど。
まあ現場目線に立てば、労働者の安全や健康へ配慮しない会社は辞めたほうがよい。従業員を守らない、守るつもりのないB企業に存在意義なんてないから。
障害者差別解消法は過重負担を強制する法律じゃないし、障害を抱えた人に十全な支援ができなかったとしても配慮(無償援助)の枠内で動いてるんだから気に病む必要ない。今般のスタッフ非難言説についてもめげる必要ない。
障害者差別解消法の求める配慮は【障害者やその支持者】が満足したか否か、納得したか否かで評価されるものじゃないですよ!
過重負担を要求する権利は認めておらず、法の範囲を超えるサポートを提供したのなら、それは善意であり義務じゃない。
ダメ、ゼッタイ
腰痛は国民病です。【腰痛持ちの人】は車椅子の持ち上げとかやっちゃ駄目ですよ。
腰壊さないように。
理念の日かげ
誰かの権利や【当たり前】を実現するために、その背後でどれだけ他人が汗かいてるか、協力してるのか、それくらい頭の片隅に入れておいてもよいのでは。無償支援なんて当たり前。
一々感謝する必要ない。
人権主張なんだから。
誰憚る必要もなし。
それはその通り。
でもね、そうした(社会資源は減少する一方で増大し続ける)権利主張社会が生み出す異常事態がすぐそこまで来てますよ。
介護難民というんですが、ツイッタ言論を眺めてたら不思議と大丈夫な気してきた。社会は【当たり前】の事として認知症高齢者の介護介助を負担するのだと思う。
本来は福祉職が代金を頂戴して提供するレベルの障害者移動支援と移乗支援を誰も彼も無償で提供すべき【当たり前】の配慮にしてしまったのだから。
★義務規定の適用主体は事業者だけど、実際に負担するのは現場労働者。
日本人【総】無償介助へ
たとえば認知症高齢者であることを理由に入店拒否などできるわけない。飲食店のスタッフがおむつ交換や食事介助する日も来ると思う。認知症高齢者にとって尿失禁や便失禁など日常茶飯事ですが、配慮しましょうね。というか【否応なし】にそうした社会状況になる。車椅子の問題も高齢障害者の問題も認知症高齢者の問題も、社会全体で介護介助してゆく未来しかない。だが何の心配もいらない。介護職は使命感から降りてよいのだ。ヘルパー年齢は平均55歳くらいのはず。
お疲れ様である。
あとは社会全体で引き継ぐ。
皆さん介護負担を【当たり前】と受け止めてる。社会全体で直接身体介護を負担し合えば介護難民問題など恐るるに足りん。以外とあっけない解決。ただ、リベラルは高齢者へ【援護対象】変わった途端冷たくなりそうで怖い。
偽善者の気持ち悪さ
※先に答え合わせしとくと、相手次第で態度変えるのがリベラル。(欧米とかリベラル社会はおしなべて目茶苦茶じゃん。)
相手の性別・年齢・社会的立場で優しさを封印する人達だから、介護の社会化などと宣いつつ社会から自分だけは除外すると思う。
『貴方に僕の理想を押し付けます。原資は貴方の労苦と財産です。「ああすればいい、こうすればいい。」が口癖だけど、自分は何も提供しない賢者様。』
優しさを振り翳しはするけれど、自分は優しさを絶対担わず【担い手(他人)】の手際には異様に目ざといこの世で最も冷酷で酷薄で冷たくて思いやりがない人達。
【困ってる人がいたら助けるの当たり前だ!】→高齢者の孤独死(記事題:高齢者の孤独死、推計年間6.8万人_今年1~3月に1.7万人確認朝日新聞)とかには瞼を閉じる。明日にでもボランティアでヘルパーできるじゃん。
偽善者の語る出来ない理由なんて知らねぇよ。
【自己】弁護のためなら出来ない理由や出来る条件つまり利害得失計算や合理性を全面にだすクセに【他人】へはそうしたものの外側にある価値を支えよと要求する。
追記:これは間違い情報です
ここ(https://archive.is/DOcQT)で@levi_20202さんが力説されてる段差移動法なんですが、この方法はシチュエーションを間違えると転倒事故が起きかねません。端的にいうと、段差の連続といわゆる階段は条件が違います。段差→⭕使えます
階段→❌使えません
東京都庁WEBサイトの説明でわかるように、@levi_20202さんの提案が有効な条件は、1段目に車椅子の前輪と後輪をのせられるだけの奥行きです。
介助者がいる場合、段差が1段までであれば、車椅子の後方にある「ティッピングレバー」を踏んで押し進めることで、前輪を浮かせて乗り越えることができます。階段での転倒事故は本当に危険で介護介助の対象は物じゃなく生身の人間。技術以前の問題として、怖い、恐怖で震える、こうした感覚のない人は(家族はべつとして)他人の身体に触るべきじゃない。
しかし、段差が2段以上ある場合は、1段目に車椅子の前輪と後輪をのせられるだけの奥行きがないと、前輪を持ち上げたときに後輪を支えることができません。
東京都庁WEBサイト
車椅子で段差を上り下りする方法とは?シチュエーション別に紹介
簡単だから気軽にGO!
みたいなノリは事故を近づける。