24-BLOG

マBOYの六畳間

介護と人権の縄墨

副題:人権と公平

一言:これからの時代、介護保険施設は法律専門職と【介護⇄医療】並の連携をしてゆく必要がある。

関連記事
結局どうする介護の未来

興味深いユーチューブ動画を2本みた。一つ目はアベプラだ。
- YouTube

つぎがこちら
no.23(施設)ご利用者の身体拘束と安全確保 - YouTube
(アベプラ出演の)学者と対称的なスタンス。現実に寄り添ってくれる弁護士の先生がいらして安堵しました。

まあこちらは介護施設だけれど、問題の根はそう違わないから、「子供叱るな来た道だもの年寄り笑うな行く道だもの」じゃないが高齢者予備軍は他人事とせず頭の片隅に入れといたほうがよいテーマ、介護と人権。

※なお私がここでいう子供は所謂少年‥児童期の後半(青年期前半)くらい迄を指し、法令区分としての少年や未成年じゃないです。

高校生を少年として見るのは無理がある。
身体拘束はあっちゃいけない。これは何遍も繰り返し唱えるべき大切な社会的お題目です。

動画で紹介された漫画の状況はあえて直截簡明に描いたのだろうけど私個人の見方としては描出が現実的じゃないなと思う。

【BPSD(周辺症状)】
不安、焦燥、抑うつ、自殺念慮
妄想、幻覚、誤認、収集、帰宅要求
興奮、不穏、大声、暴言暴力
易怒性いどせい、攻撃性
【中核症状】
記憶障害
見当識障害
実行機能障害
失語、失認、失行
徘徊、多動、過干渉、まとわりつき
常同、異食、脱衣、弄便、放便
現実はICF等アセスメントから対象者のADL、既往歴/現病歴、認知の状態等を事前把握してるはずだから、当該情報から転落防止目的のサイドレール設置を発想したと考えるなら漫画のような誘惑は認知機能に問題あり尚且つADLが中程度の利用者対応時に起こりやすい。

自立歩行や立位保持が困難である者(転倒の予見される者)に現れるBPSDは危険な状況を一瞬で場に出現させる。とはいえADL中程度であるとかえって危険なので虐待云々以前に普通は思いとどまる。たとえば多動ならサイドレールを無理に飛び越えてしまう可能性を直観できる。

漫画の状況が不当な身体拘束つまり虐待に当たるか否かについて云々するつもりはない。施設内における自立度の高い利用者の割合また介護員の人数などによっても判断の妥当性は変化する。これらはレスポンスタイム(安全確保に要する時間)に直結する問題で、介護技術や知識、倫理観やオペレーションの質へ原因を帰着固着させる厚生労働省には理解及ばぬ領域。

厚生労働省には青天の霹靂かもしれないが、当該利用者含め施設利用者全員の人権及び安全を同時に守る使命と責任が介護職にはあるのですよ。

私が云々したいのは、全利用者の安全人権(自己選択/決定/遂行・個の尊厳/人間らしさ)二重最大介護員不足の中で介護福祉に求める理想と現実のギャップそしてジレンマへ関心を持つ必要性についてです。

身体拘束ゼロや虐待ゼロ実現困難を「現実」の二文字で正当化させて貰えるほど世間は甘くないが、この認知症高齢者を取り巻く福祉政策の矛盾は近未来必ず社会問題化すると思います。


出典:内閣府
平成29年版高齢社会白書
高齢者の健康・福祉
認知症高齢者数の推計


先述の漫画、あれを現実的でないと言った理由はもう一つあって、1対1状況下での介護事故なんか滅多にないです。漫画の場面設定を借りるとADLに問題があっても認知が正常ならばそれを自覚できるはずだから、特殊事情がない限り(漫画では)眼前に位置した介護士若しくはスタッフコールでヘルプを要請する。

そうしなかったのは認知機能に障害があるからだと推測でき、また立位を保持できず転倒してる事からADL程度も推測できる。これらを当該介護士がICF等アセスメントを用いて事前把握していたならば要介護度からあの程度の事故は回避できる。

ようは設定が二重に現実的でない漫画。

では現実の介護はどうか。どんな状況が介護事故や身体拘束などの所謂虐待を呼び込むのか。

社会は利用者の安全と人権(自己選択/決定/遂行・個の尊厳/人間らしさ)両立を介護現場に求めはするが、介護職に理想実現のためのリソースは与えない。


出典:厚生労働省
介護職員の必要数について
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000804129.pdf


現実の介護に1対1状況など24時間を通してほぼ存在しない。絶無とまでは言わないが、介護員不足や資金不足と相まって、特に介護職の夜間帯は一名体制が少なくない。

【BPSD(周辺症状)】
不安、焦燥、抑うつ、自殺念慮
妄想、幻覚、誤認、収集、帰宅要求
興奮、不穏、大声、暴言暴力
易怒性いどせい、攻撃性
【中核症状】
記憶障害
見当識障害
実行機能障害
失語、失認、失行
徘徊、多動、過干渉、まとわりつき
常同、異食、脱衣、弄便、放便
認知症状がありADLに問題のある利用者多数を夜間一人でどう対応するのかというと、まず人権(自己選択/決定/遂行・個の尊厳/人間らしさ)擁護の観点から物理的身体拘束は原則できない。言葉によるスピーチロックなどの精神的抑制も行動制限であり虐待となりうる。他方で介護事故だけは何がなんでも防がなければならない。

介護職は利用者の体がベッドから離れる瞬間のセンサー反応を拾いひた走るのである。一名体制だとそれ以外やりようない。

ではこの時複数のセンサーが同時あるいは介護対応中に反応したらどうすべきか。冒頭あげた漫画でも見られる介護事故発生確率の急上昇する際どい局面で対応に順番(選別)を振らざるを得ないが、他方やその御家族にとってこれは介護放任(ネグレクト)つまり虐待と認識されかねない。

後回しにされた利用者の事故発生率は上昇するわけだし。

この両建てが齎す物理的・論理的無理が時間的余裕を秒単位で奪うから、場全体の安全確保中にインフォームドコンセントや傾聴(受容的態度を示す福祉技術)してる暇など本来ありはしないが、どんな状況であっても介護職たるもの利用者の人権(自己選択/決定/遂行・個の尊厳/人間らしさ)へ最大限配慮しないといけないのだ。一方で(クドいけれど)全利用者の安全確保と人権擁護を同時に要求される介護職。

「夜勤が怖くて仕方ない」ワンオペ解消を求める要望書提出 4万筆の署名とともに「複数配置を当たり前に」

引用元:介護ニュースJoint
2022年11月11日

https://www.joint-kaigo.com/articles/3534/
たとえ介護側が認知症高齢者から暴力や介護抵抗を受けても認知症状が他の利用者へ迷惑行為として現れても当該利用者の人権第一だ。たとえば他利用者居室への侵入という姿をとって失認・多動・易怒性いどせいが現れたとしても行動制限はできない。

発生中の危険と発現中の認知症状を前にインフォームドコンセントや傾聴などしてる状況的余裕は介護員に存在しないが、(利用者同士の)人権調整、比較衡量の視点を厚生労働省や学者はなぜか捨象するんですよ。

馬鹿いうなよ行動制限できるよ。そう考える行政関係者いましたら正式な有権解釈として文書でください。

身体拘束は以下の基準に基づき「緊急やむを得ない場合」を切迫性、非代替性、一時性の3点から判断する。では「当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため」は如何なる観点で判断すればよいのだろう。

要は緊急避難の援用か。似た概念に正当防衛があるけど認知【症状】を不正行為で定義可能か不明だから以下緊急避難という。

指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準

介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八十八条第一項及び第二項の規定に基づき、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準を次のように定める。

第11条

4 指定介護老人福祉施設は、指定介護福祉施設サービスの提供に当たっては、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならない。

引用元
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411M50000100039
上のケースを「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」及び緊急避難(正当防衛?)に当てはめると、他利用者居室への侵入という姿をとって失認・多動・易怒性いどせいが現れる場面、この程度だと他利用者にとって迷惑行為とは言えてもこれが生命又は身体を(直ちに)害する、害している状況とまで言えない。

刑法上の予見可能性/回避義務はどうか。これ可及的速やかに対処しない場合(当該場のみならず)起こりうる危険多数及び新たな派生リスクをも予見可能だが、回避義務を全うしようものなら虐待を問われかねず(結果論的に有効な措置を講じえず)何かあれば過失を問われかねない。

介護員シビアすぎる。

これが施設内でなく一般社会で発生したらどうなるんだろう‥

第11回社会保障審議会福祉部会
福祉人材確保専門委員会
平成29年9月26日


【求められる介護福祉士像】

①尊厳と自立を支えるケアを実践する。

②専門職として自律的に介護過程の展開ができる。

③身体的な支援だけでなく、心理的・社会的支援も展開できる。

④介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に対応し、本人や家族等のエンパワメントを重視した支援ができる。

⑤QOL(生活の質)の維持・向上の視点を持って、介護予防からリハビリテーション、看取りまで、対象者の状態の変化に対応できる。

⑥地域の中で、施設・在宅にかかわらず、本人が望む生活を支えることができる。

⑦関連領域の基本的なことを理解し、多職種協働によるチームケアを実践する。

⑧本人や家族、チームに対するコミュニケーションや、的確な記録・記述ができる。

⑨制度を理解しつつ、地域や社会のニーズに対応できる。

⑩介護職の中で中核的な役割を担う。
介護業界への期待は高い。

しかし、夜間帯一つとっても(業態や事業規模によって異なるものの)介護員一名体制での対応人数が20人を下回る介護保険施設はそう多くない。遺憾ながら介護展開(尊厳と自立を支えるケア)など夢のまた夢なんだと思う。

もし、あなた(又は御家族)が介護保険施設への入居を真剣に考えているのであれば、見るべきポイントは豪華なパンフレットやケアマネジャーの綺麗事チックなケアプランでなく施設内で常勤する介護員の数と医療との連携力です。これらの基礎なくしてケアプランも介護計画もないのだけれど、言い換えるとケアプランの様式はリソースの裏付けと審査を求めない。

リソースの裏付けない計画など単なる理想論(現実の状況は考えに入れず理想だけをいう意見や主張)でしかないが、リソースを用意できない社会(下掲図)であることは既にわかってる。しかしその先に議論を進めると必ず成田さんのような憂き目にあう。

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上ツイートはあるお医者様のツイートだがツイートなので半分冗談だろう。しかし地獄の蓋は開きはじめてる。来たる2025年問題‥これは冗談でないよ。

少なくない高齢者は介護員・介護保険施設不足のため入居待ち独居生活を余儀なくされ、やっと入居できたとしても(同じ理由で)そこが天国(安全/安楽/安心/自立/尊厳を満たす環境)である保証はないのだ。


出典:厚生労働省
我が国の人口について
人口の推移、人口構造の変化
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html



出典:厚生労働省
後期高齢者医療制度について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-35.html


追記
これで己の心の内を披瀝しないのは卑怯だと思うから、自分自身について書いておくと、私の命は安楽死を望んでます。

※この記事に、身体拘束への賛否視点はありません。

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